自然で平凡な一手が有利な局面を作る
4月中に将棋ウォーズ2級にあがることを目標に毎日少しずつ勉強している。羽生さんの本を読んでいると興味深い一節があった。
将棋は、一手だけよい手を指したからといって、それで急に状況がよくなるわけではありません。「自然な手」「平凡な手」を続けていくことによって展望が開けてくるのです。
素人の発想では「神の一手」がどこかに存在し、それを追い求める競技なのかと思っていたが違うらしい。もっと普通で、自然な一手の積み重ねがやがて有利な局面を作る。そういえば藤井聡太さんのすごいところはミスをしないことだと何かで読んだことがある。これまでの常識では途中で必ずミスがあり、それを見逃さず突いて戦うものだった。それがAIをパートナーに練習し続けてきた藤井さんはミスをしない。一度優勢を作られてしまうとそのままやることは地味押し切られて負けてしまう、ということらしい。一つ一つのアクションは地味で良い。それを続けることで局面が開けてくるというのは面白い。
Webサービスも似ているかもしれない。トリッキーな手法が注目を浴びたりするが、それは表面で起きていることであり、人気サービスはどれも地盤がしっかりしている。表示速度や使い勝手、不具合の少なさなど基本的な要素が積み上げられており、その上でトレンドに乗ったりフックとなる機能を作ったりしているように思う。気持ちとしては一発逆転の一手を狙いたくなるが、実は着実にひとつずつ作るのが近道だったりもする。毎日で良い、平凡な一手で良い。
いまは将棋を勉強しているから将棋とWebサービス開発が似ているなと感じるが、少し前に麻雀を勉強していたときは麻雀とビジネスの似ているところが気になっていた(運と実力の按配、他のプレイヤーが多く不確実性が高い)。要は何をしていても関連づけるのが好きなだけ。難しい言葉でいえば抽象化、平たく言えば上手いこと言うのが楽しいだけ。こうやって好き勝手考えるのは面白い。新しいことを学ぶのは過去の知識を整理することでもある。