最高か最速しか生き残れない
「最高か最速しか生き残れない」は学生時代にインターン先の社長に教えてもらった言葉。当時はキャッチーな言葉くらいに思っていたが少しずつ意味がわかってきた。競争のある社会でやっていくには何かで頭ひとつ抜ける必要がある。質かスピードか、中途半端に迷いながらやっていては平凡なままで淘汰されてしまう。
都知事選で注目を集めた安野さんの新刊「はじめる力」を読んだ。エンジニアであり起業家でありSF作家、そして都知事選への出馬。新しいことを始めるのに特別な力は必要なく、仕組みや考え方を身につければ誰でも最初の一歩を踏み出せる。本の中では著者の経歴を振り返りつつ、その時々で何を考えて行動していたのかを紹介している。特に面白かったのはやはり都知事選まわりで、突貫のチームで混乱を減らすために安野さんは最初にある宣言をする。「とにかくスピード第一でいく。そのためにはリスクを取る。アウトプットが100点じゃないリスク。後から方針転換するかもしれないリスク。そして合意形成はせず、安野さんのトップダウンで決める」こんな感じの内容。
スピード重視で行くというのは誰でも言える。難しいのはその結果何を諦めるのかを明示することにある。納得いかない状態でリリースすることがある。整備された状態じゃないので方針が変わって作っていたものが無駄になる可能性がある。それを最初に伝えるのはチームの認識合わせとしてとても大事なことに思う。そして合意形成。長期的なプロジェクトであればメンバーの納得感や、各人が近い目線で先を見据えられているかは重要になる。しかし選挙は1ヵ月ほどの短期決戦。そうであれば意思決定者を決めてそこに委ねてしまう方が早い。プロジェクトの性質に合わせてエンジンのかけ方を選び、それを明文化して共有するのは現代のチーム開発の本質に近い。
最高か最速か?スピード勝負するのか、後出しにはなるけど品質で勝負するのか。もちろん理想は両取りだが実際リソースには限りがある。少ないリソースをどこに集中させるのか。特にサービス開発の初期のフェーズにおいては、競争力を左右する要素になりやすい。