言葉のエネルギー保存の法則

2024/09/29

人に話しかけた言葉は同じ重さで返ってくる。これを言葉のエネルギー保存の法則と呼んでいる。例えば仕事でSlackに長文を書くと長文が返ってくる。優しい口調で書くと優しく返ってくるし、手厳しいコメントにはこちらも応戦してトゲトゲした文章を返してしまう。

エネルギーがちぐはぐだと違和感を感じる。例えばちょっとした質問を一行で書いたのに20行くらいの長文で返されると萎える。一生懸命考えた仕事の提案にSlackのリアクションの絵文字ひとつだけつけられて終わると肩透かしを喰らう。何かを人にするとき、同じ熱量でのアンサーを期待する。

熱量だけではなくフォーマットも保存される。固い文には固い文が、カジュアルにはカジュアルで応答される。最初にどういう話し方をするかで会話の進め方がある程度決まる。私は肩肘張らずに話せる方が好み。言い回しの丁寧さとかの余計な装飾は最低限にした方が、話題そのものに集中して話せる気がする。なのでできればフランクに話したい。ただフランクすぎると失礼になったり、くだけすぎて場にそぐわない雰囲気になるとそこに強い違和感が生まれてそもそも話を聞いてもらえない。気楽にいきたいが守るべき規範はある。言語化されていないラインを探りながら調整していく。

新卒の頃、1000人くらいが入室しているチャンネルでとあるベテラン社員がタメ口でメッセージを投稿していた。それは誰かの疑問に対して議論のコメントを投稿したものだったと記憶しているが、その光景に強烈な違和感を覚えた。自分なら1000人近い知らない人間がいるなかでそんなにフランクには発言できない。その人がなぜそう振る舞えるかというと、昔から会社にいて知り合いが多いことと、会社での立場的にも上のポジションにあることの影響が大きい。そう思うと勤続年数や権威があると下には強く当たって良いと示されてるようで嫌だった。敬語をちゃんと使おうという話ではない。日本語を第二言語として勉強した人が、敬語のない表現を書いていても気にならない。大事なのは敬語の完全さではなく、相手にリスペクトがあるかどうか。自分が正しいことを前提に置いて相手を嗜めるようなコミュニケーションは好きではない。人は間違えることを前提にしつつ、自分の今時点の意見を明確にしつつも相手の話をよく聞き、お互い理解を深めながら折り合いをつけられるようになっていきたい。