アドベントカレンダーという文化

2024/12/20

アドベントカレンダーは元々クリスマスまでのカウントダウンをするもので、12月1日から24日までの24日間お菓子の入った小さい箱をひとつずつ開けて楽しむ。インターネット界隈におけるアドベントカレンダーは違うものを指し、クリスマスまで毎日定められたテーマごとに記事を書く。毎年いろんなテーマのカレンダー作られるため、12月はたくさんの記事が世に公開されることになる。

現場で得た経験や知識を記事に書いて他の人に共有する。Web系で働く人からすると違和感はないが、自分の飯のタネを人に教えているとも言える。本来は自分だけのノウハウにしてそれで商売できる。それでも公開するのは、自分もまた誰かの書いた記事で勉強させてもらったからだ。学ばせてもらった分自分も書ける範囲で公開する。善意のサイクルが成立している。

OSSという文化がある。オープンソースソフトウェアの略だが、自分の作ったソースコードを無料で公開する。時には誰でも改変できる形で配布する。プログラミングをしていると同じような問題でみなつまずく。その際に全員が毎回苦労するのではなく、世界の誰かが作った有名ライブラリを探してそれを利用し、必要に応じてアップデートのリクエストを送る。基本無料なので作者のモチベーションに依存する部分は多くはあるが、エンジニアのオープンな文化の礎である。

インターネットへの恩返しの他にも、書き手にも良いことがある。良質なOSSや記事を書いていると実力が保証されて仕事を得るのに有利になる。エンジニア向けの採用サービスではこういった各種情報を取りまとめるものも多く、明確に指標化されている。その人の書いた記事やコードを見れば一緒に働くイメージが沸きやすい。勉強会という同じ場所に集まって知見を発表し合う場もある。そういう場所でできたゆるいつながりは新しい環境に行くきっかけになることも多い。

私も最近はプロダクトマネージャーやAIなど、毎年何かしらのアドベントカレンダーに参加している。自分の場合は学んだ内容を整理するのが最大の目的。人に公開する必要はそこまでないが、誰かに読んでもらう前提で書く方が自分の中でまとめやすい。たまにコメントなどで反応があるのもうれしい。アドベントカレンダーの時期に書く必要自体はそこまでない(むしろ別の時期に出す方が埋もれないので読んでもらえるかもしれない)が、Web界隈のひとつのお祭りとして楽しんで参加している。