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「何を作るか」のアイデアの作り方
仕事とは別で、趣味でWebサービスやスマホアプリを作っている。平日の夜や週末などに。作ることは楽しいし、うまくいけば広告やサブスクで収益をあげられるので良い趣味だと思うが、難しいのが「何を作るか」を決めること。自分の学びたい技術が何か、個人で作れる規模か、どれくらいの期間で作りきれそうか、便利なもの or 使っていて楽しいものか、それにお金を払ってくれる人はどれくらいいるか、Webで作るかアプリで作るかなど、とても多くの変数がある。
これまではその時々で興味のあるもの、関心のあるものを作ってきたが、継続してアップデートできているものもあればリリース以降メンテできていないものもある。その違いは何かというと「本当に自分が興味を持てているか」だと思う。
自分が憧れる作り方に、コツコツ改善していったらクチコミで少しずつ広がり、やがてヒット作になっていくというものがある。最初の数ヶ月はユーザー数が3人とかで鳴かず飛ばずだが、改善を続けていくと利用者数のグラフは右肩上がりになっていく。有名なところだとAirbnb、個人開発でいうとTODOアプリのミントなどが思い浮かぶ。振り返って語られるのは、初期のユーザー数は確かに少なかったが、その数人はとても熱量高く使ってくれていた、みたいなエピソード。誰か一人に深く刺さるものは他にも刺さる人が必ずいる。ただインターネットは広大なので対象者に届くまでに時間がかかる。それを待ちながら、自分のサービスを信じて改善していけるかがポイントになる。
一番良いのは自分が欲しいと思うものを作ることで、これは自分が熱量の高い最初のユーザーになれる。まず一人はユーザーを確保できることになる。こういう機能が欲しい、こういう用途で使いたい、というのも解像度高くわかっているので、誰かに刺さるものを作りやすい。最近読んだ「THINK BIGGER」という本にアイデアを出す方法が書かれている。
- 毎日の生活に起こる、解決したい課題を書き出す。苛立たしいもの、解決が待たれる課題はなにか。繰り返し登場するものは何か?
- 関心のあるテーマ、詳しく知りたいテーマを書き出す。情熱を持てる課題、課題解決を通じて学びたいことは何か?
- 毎日の生活で大切にしていることを書き出す。大切なこと、その時間をもっと充実させる方法はあるか?
この3つを一日の終わりに書き出す、というのを毎日やってみた。そこから生まれたのが、zenncastというAIラジオサービス。エンジニア向けの記事をAIがラジオにしてくれるというものだが、これは「AIに興味がある」「Podcastが好き」「情報収集の効率化」あたりの軸を重ねてできたアイデア。これは作っていて面白かった。
他にも、これは楽しく作れたな、という過去作を振り返ってみる。オンラインお絵かきアプリのお絵かきコラボは、子供の頃絵を描くのが好きでまた描きたいなという思いがベースにある。偶々YouTuberの方に取り上げてもらって大変多くの方に遊んでもらったが、リリース後半年くらいのユーザー数がほぼゼロの時期がなぜか一番楽しかった。アプリを見つけて試してくれた人と一緒に絵を描いたり、会社の同僚が入ってきて一緒に絵を描いり、自分が欲しい機能を自由に実装したり。楽しい時間だった。
最近つくったのだと「Relief」という日記アプリ。こちらはまったくユーザーはいない。日記の可能性を感じて作ったもので、書くことで心を落ち着かせる経験がもっと一般的になったら良いと思うし、何より自分がこういうアプリが欲しくて作っている。リリース後はあまりアップデートはできていないが、定期的に気になってアプリを見てはこういう機能もあったら良いよな、とか考えたりしている。モチベーションがいつまでも消えないのは、日記というテーマが自分にとって興味深い領域だからだと思う。
技術トレンドに乗っかろうとか、こういうサービスが海外で流行っているから真似しようとか、そういう動機で作ったものは長続きしない。リリースしてすぐに脚光を浴びるのはレアケースで、大体は自分ごとにしてコツコツ続けていくとある日花開くという図式な気がする(広告打ちまくるとか大企業の資本を使えば別)。自分は多くのユーザーに使ってもらうことよりも、あーでもないこーでもないとサービスの設計をしている時間の方が好き。興味のあることをテーマに、色々作って行けたら良いなと思う。