記憶はその土地に結びつく

2025/01/04

年末年始で実家に帰っていたが、その間は子供の頃のことをよく思い出した。家族とそういう話をしたからではなく、懐かしいモノや景色に触れて記憶が想起された感じ。納戸に閉まわれた将棋盤を取り出して甥っ子と遊んだ。子供の頃将棋教室に通っていた時期があり、町で行われた大会に出たこともある。全然上手くはないが準優勝した。小さい町だったので参加者が8人とかで、さらにレベルが低すぎて相手が二歩(同じ列に二つ歩を置く反則)で負けていったりしていた。子供だったのでそれでも嬉しくてしばらくテンションの高い日々を過ごしていたが、次に進んだ地域大会の一回戦でボロ負けして将棋人生のピークを終えた。

中学の頃、美術の授業で「音楽を聴いてそれを絵にする」というものがあり、最初に曲が流されてみんな各々の絵を描き始めた。お絵かきは好きだったので一生懸命描いていたら、先生が自分の絵をじっと見て「本当にちゃんと曲聴いてた?」と言った。これは大変ショックで、家に持ち帰り母にゼロから描き直してもらってそれを提出した。今思い返してもあれは教育ではない。この時からしばらくの間絵が嫌いになった。

英語の担当だった先生は「Last Christmas」の曲を英語で全部歌えたら成績に加点します、という企画をやっていた。この企画のおかげで今でもLast Christmasだけ英語で口ずさめる。クリスマスシーズンにこの曲がかかると気づいたら歌っていて、いつもこの先生のことを思い出す。歌でいうと音楽の先生もユニークで、教科書とはまったく関係なく先生が独自に集めた6曲くらいの楽譜をファイルに綴じて配り、そこから各自一つ選んで先生の前で歌うテスト形式だった。その歌は今でも歌えるし、その先生は音楽が好きなんだろうなと思っていた。

近所を軽く散歩したが、田んぼに囲まれた風景はあまり変わってない。次々と変化が起きる東京は異常値で、ほとんどの生活は緩やかに変化していく。いまは地方都市に住んでいるのでその中間くらいだろうか。地に足をつけ、本当に必要なものを作ってコツコツ生きていきたい。