石橋を叩きすぎない
「仮説行動―マップ・ループ・リープで学びを最大化し、大胆な未来を実現する」を読んだ。仮説思考という言葉を近年よく聞く。闇雲に動くのではなくまず仮説を立て、それを検証していく動きのことだ。著者はその仮説思考に加えて「行動」の重要性を説く。良い判断をするためには良い情報が必要。その情報は検索ではなく行動によって手に入れることができる。
何か判断する時、私たちはリスクを考える。失敗すると痛い、確実度の低い道は怖い。リスクは極力避けたくなるのが人間の本来だが、それを試さないことで失っているものが実はある。昔WWDCというAppleが主催するカンファレンスに出張で参加したことがある。会場はアメリカなので交通費も宿代も高い。カンファレンスの内容はインターネットでも公開されるので、わざわざ高いお金を払って行く必要はないように思える。でも世界中から自分と同じ開発者が集まってきていて、エンジニアじゃないと意味がわからないくらい小さな発表に熱狂的に拍手する。そういう空間で時間を過ごしたことは経験として大きい。
エンジニアには勉強会という文化があり、会社や個人がスペースを借りてお互いのノウハウを発表し合う会がよく開催される。業務外の時間に開催されているものなので参加する義務はもちろんない。ただそこで緊張しながら発表したり、他社のいろんな価値観のエンジニアと交流したことは確実に自分の糧になっている。勉強会に参加する時間はプライベートだし、発表することには炎上リスクもある。しかし参加したことで得られたものはリスクより遥かに大きい。
リスクと直面したときどう考えるか?それにより自分が失うものを考える。お金、時間、人との繋がり。それが許容できる損失であれば試してみれば良い。失敗を恐れるあまりリスクを過大に評価している場合がある。一度計算の脳を経由することで何が怖いのかを明確化でき、挑戦する勇気を持てる。
そう考えると個人開発のリスクはほとんどない。自分ひとりで、もしくは気心知れた友人と作る分にはお金のロスはなくてあるのは時間のロスだけ。しかしそれも技術の勉強が楽しかったり、ものづくりそのものが楽しいのであればロスとは言わなそうだ。変なものを作って社会的信用を失う?倫理規範を逸脱してなければそんなこともまぁないだろう。そしてリターンとしては金銭面や自由な働き方が得られる可能性がある。ただ誰でも手軽にというわけではなく、毎日コツコツと続ける必要がある。それは心から好きじゃないと辛いことだと思うので、良いライフワークと出会えたことに感謝である。