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日記を朝に書く
なんとなく日記は夜に書くイメージがある。小学生のときの夏休みの宿題は、その日に起きた出来事を振り返って書く絵日記だった。起こったことを書くスタイルでは夜にしか書けない。
最近は朝に日記を書くのが良い気がしている。夜に書くとその日起きた出来事が中心になるのに対し、朝は自分の心の中の大切なことついて描写できる。しんどいことや辛いことがあっても、夜寝れば忘れられることもある。朝起きてもまだ引きずっているものがあれば、それは自分にとって大事なことなのでちゃんと向き合う。
日記を書く効用はいろいろな本で書かれている。バイブルの一冊である「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」では、モーニングページという毎朝脳内を書き出す習慣を推奨している。思ったことをただそのまま書き出す。誰かに見せるものではなく、自分の関心や恐れをただ文字にする。これが想像以上に心を楽にしてくれる。
星野源も「いのちの車窓から 2」の中で同じことを言っている。抱えているモヤモヤを、コンプラ的に完全にアウトなことを、頭の中をそのままA4の紙に書き殴り、書き終わった途端にシュレッダーにかける。うまく書く必要はなくてただ書く。「言いすぎたな」と思ったら「言いすぎた」と書く。言動に注目が集まる有名人なら尚更抱えるものも多いだろう。自由に吐いて捨てる場所が心の健康には必要だ。
日記の効用について書かれた素晴らしい本が「さみしい夜にはペンを持て」だ。この本が素晴らしいのはストーリー調になっており、子供や普段本を読まない人でも気軽に手を取れる点。著者は13歳に向けて書いたと言っているらしい。最初こそストーリーの比重が高すぎる気がしたものの、十数ページ読み進める頃にはその世界に入り込み、頷きながら最後まで読めた。SNSが隆盛してどうしても他人を気にしてしまう時代だが、その中で自分と向き合い、自分を大切にする方法を教えてくれる。
自分の内面を曝け出す日記は人に見せるものではない。むしろ人に見せないから本音を書けて、そこに意味がある。一方で個人の日記が出版されることも増えている。自分とは住む国も職種も違う人たちの日常を知ることは、それはそれで大変面白い。内向きの日記と外向きの日記。少し性質は違うがどちらも内面を書き出すことは共通している。