「結論から話す」は本当か
とあるPodcastで結論から話すことの是非が語られている、と友人が教えてくれた。「結論から話す」は仕事術の1ページに書いてあるテクニックで今まで疑ったことはなかったが、確かに振り返ってみると必ずしも正解ではない気がする。まだそのPodcastは聴けてない状況だが、今時点で思っていることを書いてみたい。
何か相談されるとき、結論だけを言われてもそれをどう受け止めればよいのか分からない。その後に続く話を最後まで聞き、その結論で良いのか判断するならば最初に話された内容を最後まで覚えておく必要があり脳を余計に使う。流れがあって結論があるのが普通の思考の流れだと思うので、結論から提示するのはむしろ逆のことをやってしまっている感がある。
結論ファーストが嬉しいときもある。それはその議題について何度か会話済みのよく知っている状態で、後はどう結論を出すか決めるだけのシーンである。こういう場合は過程はよく知っているので、まずはどの選択肢を選んだかの結論、それからその理由の順で知りたい。先に「これを選んだ」という箱を置いて、そこに理由を詰める形で聞くとスムーズに理解できる。
口頭以外でいうと、テキストコミュニケーションにおいては常に結論ファーストで良いかもしれない。チャットツールなどに書かれたテキストを読むとき、まず自分に関係ある情報なのかを判断する必要がある。結論が冒頭にあることでそれより下の情報の読む・読まないを判断できる。テキストなら読む順番は読み手に任せられてるので分かりやすく構造化して置いておけば良い。先に結論、それから補足事項を箇条書きなどで端的にまとめるのが読みやすい。
自分から語る場合はこのようなところだが、誰かからの質問に答える場合は結論を最初に言うのが良い。このタスクってもう終わってる?などのYes/Noで答えられる質問にダラダラと喋っていてはキャッチボールが成立しない。基本的にはシンプルに答えることを心がけたい。ただ、仕事ではYes/Noの二択でハッキリ答えられる質問は意外と少ない。条件つきYes、今時点では判断できないという回答になる場合も多い。正論より納得感が重要な場面もあり、そういう場合は理由から入って最後にマイルドに結論を伝えるが仕事が進む。
結論から話すべきかどうかに最適解はなく、ケースバイケースによって対応を変えることが求められる。その基準の見つけ方は聞いた相手がどう受け止めるかを想像する時間を持つこと。メッセージは相手に伝わって初めて意味がある。相手のわかる言葉で・受け入れやすい言葉で・聞きやすい形で伝える。曖昧で個人に依る部分が大きいが、人と人とのコミュニケーションは大体そんなものである。