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ツッコミ文化が常識から外れにくくする
何かを始めるよりも何かやっている人に注意する方が簡単にできる。SNSを見ても誰かが火種を投稿してそれに全員で油を注ぐ。大炎上時代と1億総ツッコミ時代の関連性は高い。
ツッコミとは人の常識外れの行動を指摘して笑いを取ること。テレビなどでお笑い文化が浸透した結果、今では芸人だけでなく一般人もそこらでツッコむ。それは会議室だったり飲み会だったりで披露され笑いの種になるが、その用法には注意したい。
例えば人と違う行動をしていたとき、それは個性である。それにツッコんで笑いを取るのはみんなの前で「常識」を提示することで、順応性の高い人はそれに従って自分の行動を制限してしまう。例えば1日に10杯ラーメン食べてる人がいても別に良い(健康に悪い可能性はある)。能力がある人は「出る杭が打たれる」が、多様な考えをツッコミが押さえ込んでしまう場合がある。
オードリーの若林がM-1でぺこぱを見たとき、感動して涙が止まらなかったとラジオで話していた。若林はツッコミで、当時出ていた番組は「オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです」など変わった人を紹介されて話を聞くものが多かったという。それについて「おかしいでしょ!」などとツッコむが、本当はいろんな人がいていいと思っている。でも番組の構成上それを言う必要があって苦しんでいたところ、すべてを肯定するぺこぱの漫才を見て「これだ」と思ったそう。場を盛り上げたい、楽しく時間を過ごしたいという思いは良いものだと思うが、否定以外でもそれは作れることは覚えておきたい。
常識と違うのは悪いことではない。常識外れの言動をみかけたとき、むしろその常識がなぜ今まで存在していたかを考える機会としたい。それが人に迷惑をかける行為でなければ否定して簡単に笑いにするのではなく、そのノリと合わせて一緒に踊る方を選びたい。