AI時代とパーソナライズ
2025/03/11
例えばカフェの特集記事を書くとして、それは対象読者が一定数いると考えられる場合にGOが出る。観光客がほとんど来ない田舎町で「朝食セットがあってトーストが美味しい車なしで行ける店」特集は誰も読み手がいないので商業的に作る価値が低い。これは記事を書く人手のコストとビジネス的な価値のバランスを考えて判断される。
AIの特徴のひとつにコストが限りなく低いというのがある。例えばChatGPTが最近出したDeepResearchという機能を使うと業界の比較や分析をした詳細なレポートを10分ほどで作ってくれる。テキストから画像を作ったり、写真から動画を作ったりとフォーマットの変換も得意。人がやると大変に時間がかかる仕事を低コストで実現できる。そうなるとコストを無視できるのでニッチな要望にも応えやすくなる。
例えば知らない駅で降りて、その街で行くべき写真スポットを探すとする。メジャーでない駅でそんな情報をまとめている人はなかなかいない。しかしAIアシスタントにそれをお願いするとそのエリアで撮られた写真をピックアップし、構図や鮮やかさなど依頼者の好きそうな雰囲気でフィルターし、出揃った情報をマップに表示して教えてくれる。インターネットサービスの勝ち筋のひとつにユーザーごとに出す内容をパーソナライズすることがあるが、AI時代は一人ずつに出すものを変える究極のパーソナライズ体験を提供できる。
自分の情報をAIに与えるのは最初は怖いが、素晴らしい体験にはブレーキが緩むのも人の性質。カレンダーや位置情報、過去に観たりお気に入り登録したコンテンツなど自分の特性を表すものをインプットして自分なりのAIを育て始めると予想される。いる場所やその日の感情、ユーザーの芯に迫る情報を各社が競って集め出す。