リモートワークに関するNのこと
世の中のWeb企業は出社回帰がトレンドだが、ここでは個人から見たリモートワークについて。
自分の仕事はしやすいがチームのコラボレーションはかなり意識しないと生まれにくい。オフィスではいろんな役割の人が一緒に仕事していて、その交差によりアイデアが生まれる場合が稀にある。昔何かの本で読んだところではそういう"交差点"として最適なのは喫煙室や自販機近くで、たまたま顔を合わせ、喋っても喋らなくても良いという距離感が重要な要素になるらしい。一同会して交流しましょう!というのでは少し違う。リモートワークにおける会議は基本的に目的ベースになってしまうので、オフィス体験そのものの再現は難しい。
出社がないのは楽だが交流がないのは寂しい。自分は人と話すことでアイデアが生まれるタイプで、他の部署の人とたまにランチに行きたいが難しい。リモートならいつでも話せるが良い会話をするためにはその前段に信頼関係が必要。心理学用語にラポールという言葉がある。話し手と聴き手の間の信頼関係のことで、これがないとコミュニケーションは円滑に進まない。例えばお医者さんに病状を話したとき、目を見て頷きながら聞いてくれるのとモニタを見ながら耳だけで聞いているのとではラポールの形成具合が違う。その後同じ診断結果を告げられたとしても前者の医者からの方が受け入れやすい。リモートでもラポールは築けると思うが時間がかかる。これはその人を信頼できるかを判断するための情報が少ないため。細かい表情や身振り、喋る間合いなどの要素が画面越しでは伝わりにくい。この人にすべて話しても大丈夫だろうか?と勘繰りながらの会話には摩擦がかかる。
移動することで頭や心が動きやすくなるという説がある。在宅勤務は快適だが景色が流れない。電車に乗ったり歩いたりしてる時に見る建物、広告、人の服装、季節感から刺激を受けて頭が回る。体を動かすことは健康への貢献、頭のスイッチオン、公私の切り替えになる。気を抜くと仕事後もなんとなくパソコンを見ていてしまう。人は場所と行動を紐づける性質があるので、仕事と生活の物理的な空間を分けておくと切り替えやすい。
人と話してると共感を超えて同調してしまうときがある。画面越しだと自動的に一定の距離を置けるのは自分にはポジティブな要素。その場の勢いというのが良くも悪くも生まれづらいので、一度考えてから自分に落とし込めむだけの余白がある。相手がどう思うか気にしすぎると意思決定が捻れてしまうので、このあたり仕事にはプラスに働いている気がする。