「ラストマイル」を観た

2024/10/07

ラストマイル」を観た。映画館にて。上映開始から1ヵ月少々経っていたのもあり観客の入りは6割くらい。すし詰めの環境はあまり好きではないので助かる。アンナチュラルやMIU 404は楽しく見ていたので期待感は高かったが、それを裏切らない面白さだった。

本作品はアンナチュラル、MIU 404と同じ世界で繰り広げられる(シェアード・ユニバース・ムービーというらしい)。懐かしいキャラクターたちに会えるのを楽しみに観に行った部分もあったが、本作のメインキャストである満島ひかりと岡田将生の演技に引き込まれてそういった設定は忘れて没入。とある事件が起こり、ふとしたところでまずはMIUメンバーが登場し、「あ、そういえばそういう世界だった」と思い出す。前2作品を見ていなくても問題なく楽しめるが、見ているとより楽しめる。このバランス感が見事だった。

さて、本編の話はいわば社会派エンターテイメントというところで、実際にある社会問題を交えながら事件が展開されていく。いろんな仕事のリアルや社会問題を知りたくて本を読むことがあるが、いろいろ考えながら読むので体力がいる。本作はそれを映画でやっていて、かつストーリーと演出、演技の力で最初から最後までめっちゃ面白いエンターテイメントになっている。観終わったあとはまずは面白かったという感想で、次にその問題について調べてみようかな、と思わせる。そう思う映画はあまりなかったので不思議な感覚。

満島ひかりの演技も楽しみにして行ったが、とても良かった。特に中盤〜終盤あたりの岡田将生とのシーンでは、「実際にその体験したことがないとできないでしょ!?」と思うくらいリアリティがあった。細かく挟まれるセリフも臨場感を演出しており、どこまでが台本に書かれたセリフなんだろうかと気になってしまう。ユーモアと知性があり、ミステリアスさも少しあるキャラクター。カルテット、First Love 初恋など、満島ひかりの演技を見るのはいつも面白い。

ストーリーは重厚で面白いのだが、展開が早すぎてついていけないところも多々ある。映画を観たあとにそれを調べるのも楽しい時間である。あの発言はどういう意味だったのか、あの人は誰だったのか、なぜあの人はあんな行動をしたのか。考察の余地も残されており、いろんな人がいろんな説を言っている。恋愛リアリティーショーのように感想をあれこれ話す楽しみがありつつ、TENETのように複雑すぎずに幅広い視聴者が一発目から楽しめる。エンターテイメントの力を体いっぱいで感じられた。ちなみに映画館という空間自体は苦手で、大きい音が出されるシーンは身が強張ってしまう。これだけベタ褒めしつつ何箇所か直視できないシーンもあったので、配信されたらまた見てみようと思っています。考察としては「【ネタバレ有】『ラストマイル』感想と考察」というブログ記事が一番しっくり来ました。本編の謎の解明やアンナチュラル・MIU 404との連動も解説されており、映画見た後には読んでみると面白いと思います。