複雑なものをシンプルにするのがデザイン
単機能のTodoアプリは元々シンプル。それが機能が膨らんでいくとどんどん複雑になってくる。カレンダー表示したくなったり、Todoに画像を入れたくなったり、期限の数時間前に通知が欲しくなったり、「Todo」「Done」以外にもステータスが欲しくなったり。放っておくと複雑になるものをシンプルに保つところにデザインの価値がある。
例えば、すべての機能を表示すると画面が煩雑になるなら、必要なタイミングで必要な要素を表示する。何か操作メニューがあるとして、いきなりすべて表示するのではなくマウスカーソルを合わせたら表示されるようにする。機能の絞り込みもある。期限が来たタスクの通知をメールで受け取るのか、アプリのプッシュ通知で受け取るのか。いろんな方法で受け取れたらもちろん便利だが、設定が何千パターンもあってもそれを使いこなすのは難しい。ほとんどの要望を満たせるいくつかのパターンを作り込んで実装し、残りはAPIを提供するなどしてユーザーが自作できるようにしておけばそれで良いかもしれない。
理想としては一見シンプルに見えて、使い込んでいくと実は柔軟にいろんな使い方ができるような体験がよい。いきなりすべての機能表をドーンと見せられても圧倒されてしまう。主体はあくまで人。「自分たちで使えそう」と第一感を持ってもらい、まず使い始めてもらう。使い込んでいくとその機能を理解できて、さらに自分たちにあったカスタマイズした使い方もできる、みたいな流れが美しい。これを実現するにはユーザーを理解する必要がある。最近は思い込みで作らずユーザーにインタビューしようという流れが強いが、見事なものを作るには深い理解が不可欠になる。
機能が増えれば普通は複雑になる。それをどこまでシンプルに抑えられるか、この複雑度の差分がデザインの力だと思う。何か困ってることがあってそのサービスに頼るのに、そのサービスの使い方でまた困っているようでは本末転倒である。いろんなサービスが登場して飽和気味になり、ユーザーから求められる水準が高くなっている今こそシンプルさは大きな要素になる。