嫉妬から逃れる方法

2024/12/23

感情の哲学入門講義」を読んだ。哲学の入門本で元々は大学の講義で扱った内容をまとめたものらしい。ソクラテスやニーチェなどよく聞く哲学者の名前は一切出ず、身近な例を挙げながら哲学とは何か、感情とは何かを深掘りしていく。本の冒頭にもあるが全体を通してくだけた話し口調で書かれていて読みやすい。

本の中で嫉妬に関する記述がある。誰かに嫉妬するには二つの条件があり、ひとつは自分が他人より劣っていること。そしてもう一つは「その人が得た利益は自分も得られたはず」と考えること。自分より優れた人は世にたくさんいる。しかし全員に嫉妬の気持ちを抱くことはなく、オリンピック選手やソフトバンクの孫さんなどは異世界の人物として素直に応援できる。どんな場面で嫉妬を抱くかというと、同期が出世したとか、自分も思いついてたアイデアで誰かが成功したとか、自分にも手が届きそうだと思える事象に対して嫉妬する。この言語化は個人的に面白く感じた。

ではどうすれば嫉妬から逃れられるか?それは「他人が受けている利益は自分が得られるはずのものではない」と自覚すること、と本には書かれている。例えば人気のYouTuberを見て「この企画は自分でもできそうだな」と思う。しかし本当にすごいのはその動画を撮っていることではなく、日々企画を考え、誹謗中傷が飛び交うインターネットに顔を出して勝負し、視聴者数がいないときでも継続して更新し続けるその姿勢である。それは自分にはできないと思えればそこで嫉妬は取り除かれる。表層ではなく裏側のプロセスを見る。一朝一夕で得られる報酬はない。

序章で触れられるそもそも哲学とは何か、という話題も興味深い。何かの主張に対して「このパターンは?」「こういうケースでも同じことがいえる?」と疑問や反論をぶつけ、その考えを吟味していくのが哲学らしい。「答えが一定に定まらない」と「どんな意見も認められる」は別のこと。多様性という言葉を聞くと「みんな違ってみんな良い」と近しいものがあるが、ビジネスシーンではその捉え方は難しい。ビジネスでは売り上げなどの結果が明確で前に進む必要があるからだ。多様性を活かしてどう前進させるかを考えていたが、「いろんな角度から吟味する」ところに関係がありそうだと感じた。多様な観点で検証できた方が良いブラッシュアップができる。最終的に全員に配慮した案になるわけではないが、プロセスが磨かれる。思いがけずそんなヒントを得た。