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エンジニアの日記帳。ものづくり、プログラミング、読書などについて書いてます。

成功も失敗も、自分と会社で50:50

2024/12/02

「能力」の生きづらさをほぐす 』を読んだ。何かあったときに個々人の能力値に問題が帰結されがちだが、その能力って何なの?を紐解いていく本。社会人になりたての息子の悩みに対し、教育学を専攻し組織開発の仕事を長年してきた著者が答えていく物語形式。例えばある会社で活躍できなかった人が、転職先ではエースになる。能力というと絶対的なスキルに思えるが、実は環境とのマッチングの要素であることが語られる。

会社で仕事をしていて、その仕事の成否がすべて自分の手にかかっていることはほとんどない。会社の他の部署や取引先、業界のトレンドや時代など目に見えないたくさんの変数があって、自分の仕事はその一部にすぎない。評価も同じ。組織になると評価はつきものだが、その評価の尺度は企業や組織によってまるで違う。活発に意見を言うことが、あるチームでは歓迎され別のチームでは煙たがられる。その人の能力や性質は変わっておらず、周囲の環境が評価に反映される。評価は水物だがずっとそこにいるとそれが分からなくなり、評価が低い = 自分の能力が低い と考えてしまう。

一方で、変数の一部に過ぎないとはいえ自分の仕事も立派なひとつの変数である。仕事がうまくいかなかった時に環境のせいにするのは簡単だが、それでは改善の余地を逃すことになる。ちょうど良い考え方として、「自分と会社で50:50」というのを掲げたい。活躍しても自分個人の力ではないし、仕事で失敗したらその責任が完全に自分にあるわけでもない。浮き足立たず、他責にしすぎないために50%は常に自分の領分だと思っておくのはちょうど良い。

最近はプロダクトマネージャーとして働いており、これは管理職に近い。エンジニアと違って「これが私のスキルです」というのは示しづらくなった。良いWebサービスが作れても、それはエンジニアやデザイナーなど実際に手を動かしている人の手柄であるべきだ。じゃあプロダクトマネージャーの評価はどう測られるかというと、「どんなサービスを手掛けたか」で見られることが多い。GoogleやAmazonで働いたり、新進気鋭のスタートアップでの経験があると評価が高くなりやすい。しかしそれは会社に個人の評価が紐付き過ぎている気がする。その環境で個人がチャレンジしたこと、どんな課題解決に取り組んできたかなど、行動ベースで自分の実績は振り返るようにしていきたい。