ナンバーワン以外は覚えてもらえない、という言説
2025/03/01
ナンバーワン以外は覚えてもらえないという話がある。日本で一番高い山は富士山、では二番目に高い山は?と聞かれると分からない。一位は覚えてもらいやすく、商品を選ぶときに最初に思い出されると選ばれやすく有利であるというもの。ただ競争の激しい分野で一位になるのは難しい。そこで、自分たちが一位になれる分野を作る。コーヒーでは無理でもデカフェ専門のコーヒーショップなら一位になれるかもしれない。カメラアプリでは無理でも女子向けのデコれるカメラアプリならナンバーワンになれるかもしれない。こんな感じで分野を細分化し、自分で有利なフィールドを作り出す。
こういった類の話はかなり昔から言われているが、最近はこの細分化がより細かくなっている気がする。月9のドラマをみんなで見るのではなく、YouTubeで好きなチャンネルを各々が見る。興味や嗜好の細分化により、人の好きなものはどんどん多様になっている(元々多様だったのが可視化された、が近いかもしれない)。特定領域ではナンバーワンになりやすくなっているが、細かすぎると母数が少なすぎて事業として成立しないのでバランスが難しい。ニッチではあるけどある程度それに興味を持つ人がいるポイントを狙う。そしてナンバーワンになれるだけの価値あるものを作ることが最初に必要となる。
大学の就活時代、どこかの会社の人が冒頭の富士山の例を使っていた。会場の学生に対して「じゃあ二番目に高い山を分かる人はいる?」と聞いたところ、最前列の学生がまっすぐ手を挙げて「北岳です」と言った。彼は山岳部だったらしい。その会社の方は予定通りに進められず戸惑っており、その様子がなんだか面白くて印象に残っている。その分野が好きな人であれば、一番目以外も覚えている。