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学ぶは"まねぶ"
「学ぶは"まねぶ"。分かるは"分ける"。」これは社会人になりたての頃友人がツイートしていたスローガンで、それ以降いろんな本でも再度出会うことになる。学ぶは古語では「まねぶ」と読み、真似るの意味。どうやら物事を学ぶには模倣から入るという考えは昔からあったらしい。
デザインのスキルをあげたいとき、闇雲にはじめるのではなくまずはトレースから入る。自分が学びたい分野の美しいサイトやサービスを並べ、ひとつ選んで同じようなUIを作ってみる。各画面のレイアウトからテキストの色、ボタンの形や影まで似たものを作っていく。そうしていくと全体的な美しさはディティール部分の作り込みから来ており、一つ一つのボタンが最高にオシャレというわけではなくても全体で見ると素晴らしいルックアンドフィールになっていることがわかってくる。
プログラミングには「写経」という文化があり、これは誰かの書いたソースコードをそっくりそのまま写して実装することを指す。参考にするコードは書籍でもOSSでもなんでも良いがある程度達人が書いたコードが望ましい。書き写していくうちに全体の設計やコードがどう書いてあると読みやすいか、どういう単位で関数を分けるべきかなどが身についてくる。いきなり超熟したコードを読んでも逆についていけないこともあるが、例えばカレンダーアプリを作るなら誰かが公開してるカレンダーのコードを探して一度写経してみると理解が深まる。
アプリマーケティングの専門家に話を聞く機会があり、「どういうアプリが今流行ってますか?」と聞いたことがある。回答は明確で、「AppStoreのランキングTOP100を全部見て触って、自分なりにグルーピングしていけば傾向がわかるよ」というものだった。マーケの理論などは知らないがそれなら自分にも出来る気がする。実際にやってみると当時はカメラアプリが大盛況していて、その教えてくれた人もカメラアプリを作っていた。
最初の入り口は真似でいい。真似していくうちに、自分のなかで「これは美しい」「これは違う」という基準ができる。基準ができたら自然と真似する対象も取捨選択されていく。こうして自分なりの感覚が積み上がり、自分の型になっていく。いろんな人の作品に触れて、一般的な型が分かればそれを破ることもできる。普通こうだけど自分はこっち、という部分に個性が見えて面白い。
どの分野でも「真似ぶ」は応用が効くという話だが、終始物真似に終わってしまうのはつまらない。習うための真似はよいが、生み出すものは自分の内から出てきたものにしたい。こういうのがあったら面白いとか、困ってる人がこれで助かるとか、そういう思いを大切にしたい。そしてそれをうまく表現する、届ける方法は真似ぶで学んでいく。