何かを作り始めるのに遅すぎるということはない

2024/09/26

昔から本に関するWebサービスを作りたいと思っていた。しかし大学時代にはすでにブクログがあり、当時としてはかなりクオリティも高く、ユーザーも定着してるしもう参入するのは遅いかなと思った。そう思っていると読書メーターというWebサービスが登場し、読書量がグラフで可視化されるという特徴をフックにユーザーを獲得。人気サービスのひとつになる。その後似たような読書管理サービスがいくつか登場し、さすがにお腹いっぱいかと思っていた頃、ビブリアという読書管理アプリが登場する。これはスマホで使いやすい設計、きれいで可愛らしいデザインによりユーザー数を伸ばす。ビブリアが人気を博していくのを見た時に思ったのは「あ、まだいけだんだ」である。

考えてみればApp Storeにはメモアプリ、日記アプリ、Todo管理アプリが山のようにある。そして、メモアプリの中で最も優れたひとつのみが選ばれるというわけでもなく、いろいろなメモアプリが人気を博している。そもそも「優れている」みたいな基準が人によって違うのかもしれない。多機能なほど良いという人もいれば、デザインがかわいいものを探す人がいる。書き心地が良いのを探す人もいれば、そこはどうでもよくてパソコンとのデータ連携が簡単なものを選ぶ人がいる。使い道によって求めるものは違っていて、すべてに応えられるアプリはない。仮にこの世で考えうるすべての機能を持ち、デザインも自分好みにフルカスタマイズされているアプリがあったとして、それも全員に使われることはない。「機能が多すぎて手に余る」という敬遠される理由になるからである。人間関係と同じく、全員に好かれることはできない。

何を作ればよいかというと、自分(もしくは特定の誰か)が心から欲しいと思えるもの、を作るのが良いと思う。もし自分ひとりしか使わなかったとしても、問題なく開発を続けられるようなもの。最低でも自分は使うから作るだけでプラス、他の人も使ってくれたらラッキー、みたいなもの。世界は広いので誰かに深く刺さるものは他にも欲しがる人がいる。

分析的な目線でいうと、元々利用者の多い界隈のアプリやWebサービスだと有利な面がある。例えばアップルパイの焼き方を見れるアプリだと、そもそもそれを使いたいという対象者の数が少ない。日記アプリだとライバルは多いが、ユーザーの母数が多いのでそれを分け合ってもそれなりの数になったりする。メジャーの中のニッチを攻める、みたいな。例えばカメラアプリは人気のカテゴリのひとつだが、撮った写真にハートがついて可愛くデコられるとか、ティーン向け女子に絞っていても商業的に成り立つ。自分の好きなものを作れば良いが、世の中で流行る可能性を高めたいならこういう観点もあっても良いのかもしれない。

さて、2年ほど前に「エアマーカー」という読書メモ記録アプリを作った。本のページをカメラで撮ると文字が認識されて、それを読書メモとして記録できるアプリ。Kindleにハイライトという機能があるが、それをリアル本でできるというもの。図書館から借りてきた本とかフリマアプリで後から売る予定の本とかに使える。数としては全然少ないが課金してくれるユーザーもいる。うれしい。何か作りたいものがあるなら作るのに遅すぎるということはない。流行らしたいなら早いタイミングで参入する方が有利なのは有利だが、後発でも誰かに刺さるものが作れれば自分としては十分満足できる。