「不完全主義」を読んだ

2025/10/13

不完全主義」を読んだ。放っておくと効率的に、生産的に、完璧にこなそうとしてしまう私たち。しかしそれには際限がなくてやがて疲れてしまう。完璧じゃない自分を受け入れ、その上で大事にしたいことを選んでいきましょう、という本。

著者の前作「限りある時間の使い方」は日本でもヒットして自分も読んだが、これはそんなに刺さらなかった。一言でいうと「タスクをもっと効率的にこなす、という発想をやめましょう」という本で、その考えは少し前から自分のなかにあったからだと思う。今回の不完全主義のテーマは「完璧主義を手放しましょう」。これは自分にとても刺さるメッセージだった。

完璧主義とはどういうことか?例えば街を歩いていてホームレスに小銭を募金しようとする。しかしそこで「いや、支援団体に寄付した方がもっと効果的だと聞いたことがあるな・・」と出しかけた手を引っ込める。そして結局支援団体を探すこともなく終わってしまう。

この時問題なのは自分の性格ではなく、行動しようとした気持ちを止める自分の中の完璧主義な部分だ。「もっと効果的に」「最善の方法を」そう考える自分が行動を止めてしまっている。

完璧主義を手放すというのは無計画に生きるということではない。計画はあっていいし長期的な目標もあっていい。ただ、今この時間を過ごすことを大事にする。その計画が成功したら自分の素晴らしい人生がスタートするのではなく、すでに今目標を追いながら自分の人生を営んでいると考える。

それでも自分の仕事のアウトプットや成果の質が気になって仕方ないときは量を意識する。たくさん出すことを考えればいつまでもひとつの品質にこだわってはいられない。たとえば毎日15分日記を書いたり、新しいことを学んだりすると定常的にアウトプットできるようになる。ただし、ここでも「自分で決めたんだから絶対毎日続ける」という気張りは必要ない。「だいたい毎日」続けばいい。できなかった日があっても、その翌日また再開したらいい。

完璧主義者は新しいことを始めるのが大好きで、やがてそれが自分の理想から離れていくと歩みを止める。その何かが思い通りに進むことはない。例えばWebサービスを作っていてもユーザーのフィードバックに応えるうちに思ってもない方向に行ったり、作っていても楽しくない機能が増えてきたりする。自分の描いた通りの完璧に近づける必要はなく、将来をコントロールせずに身を任せればいい。

その他、特に心に残った一節をメモ。

  • インスタグラムをだらだら眺めてしまうのは「決めたことをやらなければ」と無理をしたストレスからの逃避
  • 毎日3-4時間は誰にも邪魔されない時間を作り、他の時間は日々の雑多な混乱を受け入れる
  • 親切にしたいと思ったら、すぐに行動に移す
  • いつだって、ただ次の瞬間だけを考えればいい。「次にすべきこと」にベストを尽くしていればいい
  • 情報を追うだけなら、1日に10分もあれば事足りるはず。それ以上画面をスクロールしつづけても不安や無力感が増すだけで、何より実際に行動を起こすための時間が食いつぶされてしまう

限りある自分を受け入れ、そのなかで大切なものを見極められる目を持ちたい。


「ラップスタア」が面白い

2025/10/12

Abemaのオーディション番組「RAPSTAR」が今年も始まっている。応募したラッパーの中から審査員が選考し、各ステージの突破MCを決めていく。最終的に優勝すると300万円がもらえる。最近はアイドルのオーディション番組が人気だが、このラップスタアは少し異質なところがある。

まずHIPHOPは自分の生い立ちを語る。番組内で披露する曲の歌詞はすべてラッパーが考えるが、その歌詞を追うだけでどういう生まれで、何を大事にしている人物なのかが伝わる。例えば少し前までハマっていた「THE LAST PIECE」でも作詞のシーンは何度かあったが、それはひとつの曲をメンバーで分割して、いくつかの小節に自分の夢やなりたい姿を詰め込むものであった。ラップスタアは一人ずつの参加、しかもラップで言葉を詰め込むので情報量が違う。

オーディション中で曲を作るとき、番組が用意したビートを選び、その上に自分のラップを乗せて披露する。合宿では24時間で曲を作ることもあり、それなのにとんでもなく高いクオリティでいつも喰らわせられる。なんでこんなスラスラ曲が作れるか不思議に思っていたが、そのMCの過去作を聴いていると似たような表現が出てくることがある。まだ光の当たってないときから自分と対話して積み重ねたものがこのタイミングで表出しているのかもしれない。ソフトウェア開発でも自分で試した断片的なコードがふとした瞬間役に立つことがあるので、なんとなく重ねて楽しんでいる。

審査員は6人いる。R-指定のような毎回出る人もいれば、その年に初めて入る審査員もいる。HIPHOPに詳しいわけではないので知らないMCが審査員になることもあるが、数回見た時点でもれなく好きになっている。その人のスタンス、シーンへの想いなどに触れるとこれまた喰らう。6人の嗜好はそれぞれ異なり、背景の物語を重視する人、聴き心地を重視する人、言葉選びや押韻を重視する人、ビートへのアプローチを重視する人など見ている観点が微妙に違う。もちろん重なる部分もあると思うがこの観点の違いが番組をさらに面白くしている。さらに審査員もみんな現役なので、早めに落ちてしまった人でも後に一緒に曲をやってフックアップしたりもする。優勝せずとも世の中に見つかることもある。自分のスタイルを貫くラッパーの姿はかっこいい。


食うのには困らない

2025/10/11

外に出るとみんなイヤホンをしている。音楽を聞いたり動画を見たり、歩くのに使わない耳を何かで埋めている。名前は忘れてしまったが、数年前に友達と聞いている音楽を共有するアプリがあった。アプリを開くと友人が聞いている音楽が一覧で並び、タップするとそれを自分も聴ける。会社の同僚を誘って使っていたが、ポケットの中で誤タップして通話をかけてしまうことがあった(電話する機能もついていた)。朝の通勤中に間違い電話することが多かったので、その後会社で会って一緒に笑った。

昨日は前職の後輩と夜ご飯。出張で大阪に来るとのことで連絡をくれていた。去年も同じように声をかけてくれた。うれしい。2時間くらい色々話してとても楽しかったが、特に興味を惹かれたのが山での自給自足。山に住んで鶏を飼い、完全に自給で生活している人・コミュニティがあるらしい。一発当ててもう働く必要がないことを「食うのには困らない」と表現したりするが、本当の意味の食うのには困らないを知った気がした。

あとは3Dモデル界隈の生成AIの話を聞かせてもらったがまったく分からない。仕組みの想像すらできず、どの会社が強いかとか表層の話ばかり聞いてしまう。本気で理解するには紙とペンが必要だな。次回会うときまでには知識を入れておきたい。一家に一台3Dプリンタを持つ時代ですよと以前言われたことがあったが、さすがにそれはまだ来てないとは思う。しかし自分としてはAIの情報を追ってるつもりでも局所的なんだな。たまには違う分野の人と話さないといけないぁと思った。

実家にて義母の育児日記を読ませてもらう。普通のキャンパスノートの1ページに1日分が記録されていて、各時間帯にやったことと一言コメントが添えられていた。これがとてもリアルで、最近読んだどんな本より面白かった。スマホは便利だけど筆跡そのものにも歴史が宿る。アナログの良さがある。


スマホを触る時間

2025/10/10

以前、毎日の人気記事をまとめるAI新聞というのを作った。ここを見ておけばある程度のAIトレンドを追えるので我ながら便利なツールだ。朝7時に自分向けに「今日のAI新聞をチェックしよう」みたいなメールを送っていたが、このメールの頻度を週一にした。Xから距離を置いたのと同じような理由だが、情報の摂取ペースを自分でコントロールしたい気持ちが強い。

20年前のドラマを観ると当時はまだスマホがなく、みんな人と会ったり空き時間には本を読んだりしている。一人一台デバイスを持つようになってからまだ10年とちょっとした経っていない。溢れるコンテンツ量を自分の意識で制御するのは難しい。需要はあるのでそういうサービスが出ても良さそうだが、儲かるか微妙なのでそれよりは法整備かな。実際未成年のスマホやインターネットへのアクセスを禁止する国や自治体も出てきている。

さて、そんな自分はというとスマホはそこそこ触っている。AI開発をいろいろ試しており、昨日はTier表作成ツールを作った。このツールは一回もパソコンを開かずにスマホだけで開発が完結した。自分のサービスの新機能のドッグフーディングがてら作ってみたのだが、かなり使える感じで満足度が高い。好きなもの好きに作ってる時が一番楽しい。


電車移動

2025/10/09

マットレスのバネが弱ってきてギシギシと軋むようになった。その音のせいで夜中や早朝に目が覚めることもありよろしくない。10年以上使ってるので買い替えて良いと思うけどどれにすればいいのやら。それなりの価格がして、実際一定期間使ってみないと効果も分からない。どう探せばいいんじゃ。

今日は久しぶりに長時間電車に乗って移動。移動時間は本を読んだりできるので好きだ。電車がそれなりに空いていて、座って移動できるなら結構楽しく過ごせる。

メンタルブレイクしてた頃は電車に乗るのが怖かったので今はかなり楽に生きられている。ここで大事なのはもっと上を見て偉業を成し遂げにいくことではなく、日々の小さな楽しみを見つけられる状態であること。目標はあってもいいがそれに近づけどないと意味のがないと思ってしまう人生は息苦しい。

Xと距離を置いて二日目。肌感として自分の時間がめっちゃ増えた。人の喧騒に触れることがなくて頭に余裕がある。その時間でノートとペンで頭の整理などをしていて、色々作りたいものがリストされた。ゆっくり自分のペースで作っていきたい。