「何を作るか」のアイデアの作り方

2024/08/26

仕事とは別で、趣味でWebサービスやスマホアプリを作っている。平日の夜や週末などに。作ることは楽しいし、うまくいけば広告やサブスクで収益をあげられるので良い趣味だと思うが、難しいのが「何を作るか」を決めること。自分の学びたい技術が何か、個人で作れる規模か、どれくらいの期間で作りきれそうか、便利なもの or 使っていて楽しいものか、それにお金を払ってくれる人はどれくらいいるか、Webで作るかアプリで作るかなど、とても多くの変数がある。

これまではその時々で興味のあるもの、関心のあるものを作ってきたが、継続してアップデートできているものもあればリリース以降メンテできていないものもある。その違いは何かというと「本当に自分が興味を持てているか」だと思う。

自分が憧れる作り方に、コツコツ改善していったらクチコミで少しずつ広がり、やがてヒット作になっていくというものがある。最初の数ヶ月はユーザー数が3人とかで鳴かず飛ばずだが、改善を続けていくと利用者数のグラフは右肩上がりになっていく。有名なところだとAirbnb、個人開発でいうとTODOアプリのミントなどが思い浮かぶ。振り返って語られるのは、初期のユーザー数は確かに少なかったが、その数人はとても熱量高く使ってくれていた、みたいなエピソード。誰か一人に深く刺さるものは他にも刺さる人が必ずいる。ただインターネットは広大なので対象者に届くまでに時間がかかる。それを待ちながら、自分のサービスを信じて改善していけるかがポイントになる。

一番良いのは自分が欲しいと思うものを作ることで、これは自分が熱量の高い最初のユーザーになれる。まず一人はユーザーを確保できることになる。こういう機能が欲しい、こういう用途で使いたい、というのも解像度高くわかっているので、誰かに刺さるものを作りやすい。最近読んだ「THINK BIGGER」という本にアイデアを出す方法が書かれている。

  1. 毎日の生活に起こる、解決したい課題を書き出す。苛立たしいもの、解決が待たれる課題はなにか。繰り返し登場するものは何か?
  2. 関心のあるテーマ、詳しく知りたいテーマを書き出す。情熱を持てる課題、課題解決を通じて学びたいことは何か?
  3. 毎日の生活で大切にしていることを書き出す。大切なこと、その時間をもっと充実させる方法はあるか?

この3つを一日の終わりに書き出す、というのを毎日やってみた。そこから生まれたのが、zenncastというAIラジオサービス。エンジニア向けの記事をAIがラジオにしてくれるというものだが、これは「AIに興味がある」「Podcastが好き」「情報収集の効率化」あたりの軸を重ねてできたアイデア。これは作っていて面白かった。

他にも、これは楽しく作れたな、という過去作を振り返ってみる。オンラインお絵かきアプリのお絵かきコラボは、子供の頃絵を描くのが好きでまた描きたいなという思いがベースにある。偶々YouTuberの方に取り上げてもらって大変多くの方に遊んでもらったが、リリース後半年くらいのユーザー数がほぼゼロの時期がなぜか一番楽しかった。アプリを見つけて試してくれた人と一緒に絵を描いたり、会社の同僚が入ってきて一緒に絵を描いり、自分が欲しい機能を自由に実装したり。楽しい時間だった。

最近つくったのだと「Relief」という日記アプリ。こちらはまったくユーザーはいない。日記の可能性を感じて作ったもので、書くことで心を落ち着かせる経験がもっと一般的になったら良いと思うし、何より自分がこういうアプリが欲しくて作っている。リリース後はあまりアップデートはできていないが、定期的に気になってアプリを見てはこういう機能もあったら良いよな、とか考えたりしている。モチベーションがいつまでも消えないのは、日記というテーマが自分にとって興味深い領域だからだと思う。

技術トレンドに乗っかろうとか、こういうサービスが海外で流行っているから真似しようとか、そういう動機で作ったものは長続きしない。リリースしてすぐに脚光を浴びるのはレアケースで、大体は自分ごとにしてコツコツ続けていくとある日花開くという図式な気がする(広告打ちまくるとか大企業の資本を使えば別)。自分は多くのユーザーに使ってもらうことよりも、あーでもないこーでもないとサービスの設計をしている時間の方が好き。興味のあることをテーマに、色々作って行けたら良いなと思う。


マルチタスク

2024/08/25

年々マルチタスクが苦手になってきている。社会人5年目くらいまではドラマや映画をみながらプログラミングできていたが、最近はひとつひとつ取り組まないとあまり捗らない。最近読んだ本によると年齢を重ねるにつれてマルチタスクが苦手になっていくらしい。まさにそんな感じ。

年齢以外でも、目の前のことに集中するのが心地良いことに気づいた、というのがある。元々周りの人が考えていることを想像して慮ってしまう性格で、何かやっているときも周囲の目は何割かの意識で気にしていた。ある時からそれがしんどくなり、「ごちゃごちゃ考えるんじゃなくて自分のやるべきことをやる。自分に言いたいことがあれば言ってくれるだろう」というマインドに寄せていった。自分の人生を生きるうえでは、これは良い切り替えだったと思う。

数年前に心が落ち着かなかったとき、「マインドフルネス瞑想入門」という本を読んで実践した。姿勢を整え、目を瞑って10分くらい何も考えずに過ごすというもの。この何も考えないというのが案外難しく、仕事や将来の不安、過去の失敗など、自然といろんなトピックが浮かんでくる。飛行機や車の音など、外部環境からも集中を邪魔してくる。こうしたノイズを排除するのではなく、「仕事」「過去」「車の音」などとラベリングしたうえで、木の葉にのせて川に流していく(イメージで)。やってみて思ったのは日々暮らしていて「何も考えない」時間ってまったくなかったな、というもの。どこにでも持ち運べるスマホが便利すぎて、ちょっとしたスキマ時間もすべて何かできてしまう。1日3分とか5分でも、何も考えない時間を設けるだけで心の健康に効く気がした。

他人に気を遣いすぎるのは性質で、矯正するのは難しい。「考えすぎ」と言われても考えすぎてしまう。
自分の思ったことをそのまま発言したり、それゆえ周りから自由に物言いされたりする人を見ては憧れてきたが、各々のスタイルだな、と最近は思えるようになってきた。周囲に配慮できるのはそれ自体では良いことで、あとは自分がそこに引っ張られすぎないように気を付ける。「「静かな人」の戦略書」という本がベストセラーになるなど、気を遣いすぎる人の生き方みたいな情報も増えてきてる気がする。自分のやりたいことをやることと、周囲へのケアと。ここらへんのバランスは練習していきたい。


フィリピン

2024/08/25

お盆明けくらいから休みを取り、フィリピンのセブ島に行ってきた。7泊8日。海外旅行はコロナ直前に行ったロンドン以来で約4年ぶり。

閉所や同じ場所でじっとしてるのが苦手なので飛行機移動に若干ビビっていたが、本を読んだり事前にダウンロードしたドラマを観ていたらあっという間についた。以前より体調がよくなっているのかなと感じる。ちなみにフィリピン航空は座席にモニターが着いておらず、そこで映画を観たりなどはできない(自分のスマホなどで観るっぽい)。国際線でもモニターがないエアラインもあることを知る。

旅行の負荷を軽減するもの。eSIMとGrab。eSIMは事前購入していて、現地着いて2タップくらいで繋がるようになり大変便利。Google Mapsを使わず観光していた頃ってどうしていたのか。Grabは配車アプリで、タクシーの値段交渉とかが超苦手な自分には大変ありがたい。行き先を先に入れておける、配車予約時に金額がわかる、ドライバーの評価がわかるのに加えて、安全にも配慮されている。一度渋滞にハマって車がほぼ停止したとき、「想定しない場所で車が止まってますが大丈夫ですか?危険を感じる場合はセンターに連絡してください」とGrapアプリに表示された。技術や仕組みで安全を担保していて素晴らしい。ちなみに東南アジアではGrabはめちゃ強く、Uberも撤退している。

ホテル、ショッピングセンターのスタッフなど限定的な人しか接してないが、みな楽しそうに働いている。例えばホテルの朝食会場で部屋の番号を伝えた時、その番号を歌いながら復唱する。Grabの車内ではドライバーの好きなHIPHOPのプレイリストが流れている。ショップにて、接客中も隙あらばスマホを触る。どれを買うかこちらが迷っているとき、じっと待つんじゃなくて店員同士で談笑したり誰かとチャットしてたりする。「お客様は神様」ではなく、サービス提供者と利用者とでフラットな関係がして自分には心地よかった。Grabのドライバーは運転しながら息子とボイスメッセージでやり取りしていて、自分はあまり使わないボイスメッセージのユースケースを見た気がした。

治安と衛生。フィリピンでは空港やフェリーなどのトイレにはトイレットペーパーがない。便座も外されてたりして結構ない。ホテルには完備されていたが、外に行くときはトイレットペーパーを常備する必要があった。
料理はどれもおいしかったが、よく虫が飛んできて気になる。おしぼりで手を拭きたい。道路は、バイクの3人乗りや小さいバスなどが走っていてそれを追い抜きまくる。横断歩道や信号がほぼないので歩行者が機を見て渡るスタイルになっており、注意の意図でクラクションを頻繁に鳴らす。あまり安心して乗っていられなかった。現地で生活していたらすぐ慣れるのかもしれないが、このあたりは日本在住により基準が高くなっているな、と改めて実感。

旅行は全般的に大変楽しく、あっという間に終わった。楽しい時間はそのときは短く感じるが、あとから振り返ると長く感じるという。まさにそんな感じで、普段何気なく過ごす一週間とは密度が違った気がする。
おいしいご飯、きれいな海、プールの中にあるカフェバー。観光らしい観光をしたり、英語をたくさん話したり、良い時間になりました。ありがとうセブ島!


ノンフィクション

2024/08/24

Netflixオリジナルドラマ「地面師たち」が人気だ。地面師とは不動産詐欺グループのことで、数年前に積水ハウスが被害にあった実際の事件を元に作られた作品。

綾野剛、トヨエツ、山本耕史、リリーフランキーなどキャストは大変豪華で、派手なアクションというよりは机越しになされる会話のラリーを楽しむドラマ。綾野剛は昔はあんまりだったけど「最高の離婚」あたりから好きになってきた俳優で、今作でも優しい・怖い・儚いの表現がうますぎて震えた。YouTubeにあがってるアフタートークを観て、自分のなかの役者軸がしっかりしてるんだなと思ってもう一度痺れた。

最近のヒット作は実話に基づいたものが多い気がする。フェイクニュースなど何が真実か分からなくなっている現代で「実際にあった」は見る理由になる。コロナ禍に入った頃から小説はあまり読まなくなり、その代わりに日記やエッセイを読むようになった。緊急事態宣言で外に出られなくなったり、生活様式が一変したり、非日常を体験した世代には創作より誰かの実話が面白いのかもしれない(SFなど振り切ったものはフィクションでも面白い)。


逆算と積み上げ

2024/08/23

ゴールから逆算していまやることを決める、というような思考を長らくしてきた。

それが物事の進め方のベストプラクティス、くらいに思っていたが、最近は違うような気もしている。

ゴールをひとつに決めると横道に逸れることは無駄になり、予定通り達成できなければ失敗になる。
人生をやっていくうえで、何かに没頭したり、家族・友人と楽しく過ごす時間を増やしたい。こういう時間には特にゴールはなくて、その時間を最大限楽しめばそれで良い。

最近、習慣の本を何冊か読んだ。習慣化のプロ達によると、何かを目指さず「毎日続ける」ことが続く秘訣とのこと。逆算ではなく積み上げ式。やらされ感が出ると辛くなるので、やりたいことをただ続ける。自分に当てはめてみると、プログラミングや読書はただ楽しいから続いている。そしてそこで学んだことが突然役に立ったりする。計画された道中ではなくて、偶然役に立つこういう瞬間がおもしろい。

三日坊主で終わったらダサいなとか、自分が書けることほとんどないなとか、否定する側のコメントはたくさん浮かぶ。でも書いてみたいと思ったので書いたら良い。とりあえず書き始めてみたらよい。やってみようという気持ちに変にフタをする必要はない。

というわけで、日記をはじめました。