Feedback Loop

エンジニアの日記帳。ものづくり、プログラミング、読書などについて書いてます。

スマホのない時間をつくる

2024/11/24

先日友人のPodcastを聴いていると、昔は地下鉄で携帯の電波が届かないエリアがあり、その区間では本を読んでいたという話をしていた。今ではどこでも繋がるのが当たり前に思えるが、確かに数年前はあの路線は電波が悪い、みたいな話をしていた気がする。どこでも繋がるのは便利さを追求した結果だが、それがスマホ依存を加速させていたりしてもう自分には何が正解かはよく分からない。

iPhoneが流行り出した頃、スマホアプリといえばコミュニケーションやツール系のものが多く、日常を便利にするための機器だった。そこから数年経つとゲームアプリが台頭し、ソシャゲやガチャなどが社会的に熱を帯び、マリオなどの人気タイトルもスマホで遊べるようになる。私はiPhoneのアプリを作る仕事をしていたのでAppleの発表は毎年よく見ていたが、この頃はゲームのための機器としてプレゼンされるシーンが多かった。

もう少し時間が経つと次は動画で、みんなYouTubeを見るようになった。これは通信速度と通信容量(ギガ)の改善が大きく寄与しており、外出先でもスマホで動画を見ることが当たり前になっていく。YouTuberという言葉を初めて聴いたのは2013年。その頃YouTubeは「好きなことで、生きていく」というコピーで大きくプロモーションしており、働いていたビルの商業エリアでイベントが開催されていた。自分はまったく知らなかったが一緒にいた先輩はいつも見ていたらしく、その面白さや魅力を教えてもらったのをよく覚えている。

現在では動画もさらに改善され、ショート動画というスキマ時間によりフィットする形も発明された。エンタメはツールの利用よりも基本的に時間を使う。世のトレンドに身を任せているとまとまった時間をつくるのは難しいので、意識して空白をつくる必要がある。食事中は視界に入らないところにスマホを置く、電車では本を読むかDuolingoをする、寝る時は寝室にスマホを持ち込まないなどを実践してみる一方、お風呂でスマホを見ているときもありまるで一貫していない。最近はスマホから離れたくなったら岩盤浴に行っていて、これはかなり良い。ただ、浴室内にスマホをこっそり持ち込んでスタッフに注意されている人などもいて、スマホ中毒の恐ろしさに改めて気付いたりもしている。


はみ出すデザイン

2024/11/23

個人開発のデザインは自分で考えることが多いので、自分なりにこうすれば分かりやすい、という思考ができてきた。しかし最近それはレイアウトや整理整頓的な部分であって、「魅せる」デザインはまた別の道があると感じている。

アプリやWebサービスの中身でいうと、機能やそれを使って実現できる体験に価値があり、ボタンやテキストはあくまでそれを補助する役割だ。各部品が目立つ必要はなく、必要なタイミングで「次このボタンを押してね」と自己主張するくらいで良い。一方でサービス紹介ページやキャンペーンページは人の注意を引く必要がある。それはダイナミックな配置であったり大きめのアニメーションであったりするが、これはまったく経験がなくて難しい。

発表スライドのレイアウトやWebサービスのデザインでは、一貫性や規則正しさが求められる。注意を引くためには逆で、はみ出し感が必要。四角形や丸で囲った枠から人の写真をはみ出させる、画面スクロールにあわせて要素をアニメーションつきで登場させる、背景の区切りを真っ直ぐではなく斜めや波線で示す。同じデザインという呼び名で括られるが求められる力は別で、ひとつ自分が学ぶべき分野があったな、という感覚。

そしてデザインをはみ出させて気を引く技術は、Webサービスを使いやすくするデザインにも活きてくる。使いやすさとはメリハリで、パッとその画面を見た時にどこに注目すれば良いか一瞬で分かることだ。優れたデザインは色や形、コントラストで視線を適切に誘導するが、このはみ出しもそれに一役買える。アニメーションで注意を引いたりグラデーションで主役を際立たせたりする。使いすぎるとゴチャゴチャしたサービスになってしまうが、ピンポイントで使えば効果的。特にさりげないアニメーションは手触りの良さや空間の心地よさに直結していると最近よく思うのでこの分野はちゃんと学びたい。

シンプルな中にもワンポイント魅せる要素がある。マニュアルを読むことなしに適当に使ってたら使えて、詳しくなると高度な機能も理解できて使いこなせていく。そういうデザインを目指したい。


使いやすいデザインを考える

2024/11/22

Webの仕事をしていると「デザイン」の意味がとても広いことが分かる。見た目の装飾だけでなく、ユーザーの行動の設計もそこには含まれる。デザイナーの仕事は多岐に渡り、ユーザーへのインタビュー、コンセプト設計、見た目の装飾、イラストを描く、アイコンやバナーの作成、ときにはプログラミングも行う。

とはいえ、元々デザインという言葉から連想していたのは見た目のデザインだ。私は使いやすいデザインに関心があり、使い心地の良いサービスと悪いサービスの違いを長年気にしてきた。

使いやすいサービスは文字サイズや余白感、画像や影の使い方が適切で、なんとなく画面を開いていて居心地が良く、窮屈な感じがしない。あるページを見た時に大事なものから順に視線が誘導されるが、それは文字の大きさや色使い、配置により実現される。さらに、その色や配置のパターンは複数ページで同じように適用する。使っていくうちに「決定ボタンは大体この辺にある」「下線が引かれたテキストはクリックできる」などとユーザーが学習する。一貫性がもたらす効用だ。

単純な見た目の美しさは、同じ属性のものを近くに置いたり文字の始まりを揃えたり、そういう基本的な要素が影響する。「ノンデザイナーズ・デザインブック」は誰もが身につけるべきデザインの教養が述べられている。私は大学のゼミでスライドを作るときに参考資料として読んだが、それ以来多くの項目を参考にしている。ノンデザイナーズ・デザインブックが見た目の整理整頓を教えてくれるのに対し、「融けるデザイン」はインタラクションの重要性を教えてくれる。インタラクションとは相互作用のことで、例えばある要素にマウスのカーソルを乗せるとその要素がちょっと大きくなる。そういう動きがあると「押せる」感が出る、みたいなこと。いま部屋に置く本棚を探しているが、この2冊は必ず置きたいと思っている。

サービスを使うのは人間なので、人がどう感じるかに敏感でいたいと思っている。Webのデザインは現実世界に倣ったものが多く、その形状や色、影などにより意味を伝えられる。デジタルだけではなく実際のモノからも、優れた設計やデザインや吸収して真似していきたい。


言葉の語源を知る

2024/11/21

この日記を書き始めてそろそろ3ヵ月ということで、これまで書いたものを区切ってまとめたいと思っている。有力なのはまとめて本にすることで、そのために電子書籍のフォーマットであるEPUBについて調べたりしてる。

その中で「ルビ」というワードが目に留まった。ルビは文章の中で文字の上に小さく付けられるテキストのことで、通常は漢字の読み方を伝えるのに使われることが多い。このルビ、英語で表記するとrubyとなる。プログラミング言語にもあるがrubyは宝石のルビーを意味し、これがどういう関係なのか調べてみた。すると、昔欧米では活字の大きさを宝石で表す場合があり、ルビの大きさが宝石のルビーのサイズに近かったためこの名前になっているらしい。他にもパール、エメラルド、ダイアモンドという呼称もあったとか。読書しているとよく見かけるルビが宝石と繋がっていたとは面白い。

こういう雑学は昔から好きで、心に刺さったものはいつまでも覚えている。例えばお菓子のフィナンシェは「ファイナンス」から来ており、忙しい金融家たちが手を汚さずに食べられるお菓子を目指して名付けられた。駅の自動改札機のカードをタッチする部分は13度になっており、これは実験見つけられた一番失敗しにくい角度。不具合のことをバグというが、これは昔アメリカで作られたコンピューターの故障の原因が内部に入り込んだ虫(バグ)だったためという説がある。こんな感じで。

雑学とは少し違うが、言葉の意味を深堀りして理解が深まることもある。例えば「目的」と「目標」はよく似ているが、目的は「的(まと)」なので最終的に辿り着くゴールのこと。目標は「標(しるべ)」なのでゴールに向かう途中の通過ポイントのこと。「信頼」と「信用」の違いは担保があるかどうか。信用は過去の実績や担保によって客観的に示されるが、信頼は無条件にこの人なら大丈夫だと思う場合もある。こうやって理解していると細かなニュアンスを取りこぼさず受け止められる。

何かが気になったとき、昔は辞書を引いて分からなければ諦めるしかなかったが、今ではインターネットで手軽に調べられる。知識が増えることで即時的にリターンが得られることはほとんどないが、好奇心のままに何かを調べる時間は大切にしたい。


個人開発で火がつく瞬間

2024/11/20

趣味でとあるサービスを作っている。まだまだ作りたい機能はたくさんあるが、先日気まぐれにサービスロゴを作ってみたところ中々気に入るものができ、一気にサービスの雰囲気がリアルになった。

サービス名を決める、ロゴを作る、ドメインを取得する。これらは技術の練習用のプロジェクトではやらないことで、世に出すことを前提にしているからこそ必要な作業。技術的には本質ではないが、世に出す上ではとても重要。サービス名やロゴを決めるにはコンセプトに立ち返る必要があり、その過程で作っているものの像がより明確になる。

個人開発の最大の壁はモチベーションで、プライベートや仕事の状況により途中で頓挫してしまうことが多い。その対策として2-3ヶ月以内で作り切るというのをやっていて、これはうまく作用している。ただ、それでも中だるみの時期は存在し、機能を淡々と作っていていつゴールに辿り着くのか不安になる時がある。そんな時、サービス名やロゴを作るとモチベーションが回復し、またエンジンをかけ直せる。

個人開発でアプリを作る時もあるが、アプリはWebサービスよりもリリースのための作業が大変である。スクリーンショットやプライバシー情報、アップデート時にはその内容など、記載する項目が多い。その代わりにAppStoreやGoogle Playといったストアに並ぶので見つけてもらいやすいのだが、リリース前にこういった技術と関係のない作業が待ち構えているのはなかなか壁である。その点Webサービスはシンプルで、作れば公開できる。まず公開して、それから必要に応じて情報を追加していける。モチベーション維持という観点ではWebの自由さが好ましい。

ロゴ作成やドメイン取得は世に出すために必要な準備。ログイン機能の実装なども近いかもしれない。サービスに命が吹き込まれるタイミングは、リリースそのものではなくこういった細かな部分を詰めていく過程にあるのかもしれない。